行事・アナウンス
ICT企業リーダによるリレー講座 2013年度第2回開催
一般社団法人日本情報システム・ユーザ協会 主任研究員 (元JTB取締役CTO) 佐藤 正史 氏
2012年11月15日(金)びわこ・くさつキャンパス クリエーションコアにおいて、 情報コミュニケーション学科主催、「ICT企業リーダによるリレー講座」の今年度2回目の講義が行われた。今回は一般社団法人日本情報システム・ユーザ協会 主任研究員(元JTB取締役CTO)でいらっしゃる佐藤正史氏に「基幹予約システムの再構築」という題目でご講義いただいた。
はじめに佐藤氏のこれまでの経歴、そしてご自身の社会人としての経験から「趣味を持つことが大事」だと述べられた。それから本講義のテーマである「基幹予約システムを再構築」する動機についてお話された。その動機として、同じシステムを使い続けることでシステムそのものが複雑化してしまい(スパゲティ化)不安定な運用を強いられること。また定年や転職による担当者の退社でシステムの運用、保守に限界がくる、それによる属人的な運用の限界などを指摘されていた。
次に基幹システムの概要についてお話された。ご自身がお勤めされていたJTBの基幹システムを例に、予約システムで取り扱う商品の説明がなされた。また現在はWebでの予約が主流となっており、そのための予約システムのトラフィック特性として、繁忙期に起こる集中アクセスに耐えうるキャパシティを用意する大変さについてお話された。
さらに次の話題として、予約システムの生い立ちについても述べられていた。もともと予約システムには汎用OSが用いられていたが、応答速度に難があるシステムであった。そこでそれを解決するためにACP/TPFという「世界初のオンラインリアルタイム航空座席予約システムの専用OS」が日本IBMの提案のもと開発された。佐藤氏はこの開発プロジェクトに直接携わっておられ、システム規模は20年で約3倍、総ソフト資産は200億円であることが述べられた。
また次に次世代システムの検討についてもお話されていた。ROIという指標を用いた評価を行ったことや、社内ユーザの声を集めたことをお話され、さらに業務機能や技術面での課題点を挙げられていた。そこからの検討の結果、これから求められるべきは処理能力の向上や業務機能の改善よりも、開発スピードの向上や可用性の向上、新ビジネスモデルへの対応といった点であると説明されていた。
最後に、オープン・プラットフォームへの移行についてお話された。システムの再構築の方針としてオープン・プラットフォームを採用することや信頼性の確保、24時間のサービス提供などが挙げられていた。さらにオープン・プラットフォームへ移行する際のメリット、デメリットについて述べられた。また、そこから実際に稼働した今までの実績や、それに対する評価、また開発プロジェクトメンバーの思いなどについてお話された。メンバーの思いとしては、辛かったが確実に成長することができ、プロジェクトに携われてよかったといった内容であった。